筆者は不安定核プローブを利用する研究の一環として,γ線摂動角相関法による凝縮系の物性研究を行っている。本稿ではγ線摂動角相関法の原理を概説した後,筆者が行った炭素物質を対象とした物性研究と新しい手法の開発を紹介する。物性研究例としては,γ線摂動角相関法によって観測された炭素の同素体(フラーレン,グラファイト,ダイヤモンド)中での不純物原子(140Ce)の動的挙動や電子状態について報告する。また,本分光法をさらに広く物質科学に応用するため,19Oを親核とする新規プローブ19Fを用いた手法を開発し,短寿命核ビームを利用したオンライン測定法を確立したので,この研究開発について紹介する。